フルブライトストーリー

No.23 東郷弘和

みんなと一緒に冬カボチャを収穫

勇気を持って最初の1歩を——公衆衛生学分野で学位取得を目指す

公衆衛生のシンポジウムにて
仲間と集合写真

食品衛生を専門とする東京都の公務員だが、休職してニューヨークの Cornell University に在学中。

2013年に東京都の研修で訪れたロサンゼルスで Master of Public Health の取得を勧められたのが興味を持ったきっかけだ。「挑戦したいとは思ったんですが、英語力も資金も足りず自分には関係ない話だと思い、特に行動には移しませんでした」。しかし翌年、母の死をきっかけに心境が変化した。「人生は短いものだと気づき、失敗を恐れるより本当にやりたいことに本気で挑戦したいと考えました」

期待を込め送り出してくれた職場へ成果を還元するため、課題や調査に忙しい日々を送っている。前学期にはアメリカ人学生とペアになり学校給食の調査を行った。アメリカでは多くの学校で朝食が提供され、低所得世帯の子どもは無料でバランスの取れた朝食が食べられる。「一部の子どもだけ無料にすると、その子どもが貧困を隠そうとしたり、いじめを恐れたりして朝食を利用しないことが課題でした。そこで私たちは、全ての子どもへ朝食を無料で提供できる仕組みを提案し、実際に2つの学校で無償化が実現、今はその効果を観察中です」

留学して驚いたのは、教授陣や学生が本気で世界を変えようとするモチベーションの高さだという。「日本にいた時は日本のこと、東京都のことだけ考えていましたが、今は世界基準の視野を持ち、様々な角度で物事を考えています」

英語に対する苦手意識も変わってきた。「アメリカ人学生に比べ英語力は劣っていますが、自分にはその分、日本人が得意とするきめ細かな配慮、誰にも負けない努力ができるという強みがあると気がつきました。結果として、授業成績を高く評価してもらえ、今学期は教授のアシスタントになることができ、また学校給食の調査を報告したプレゼンテーション大会では優勝することができました」

苦手を理由に躊躇うより自分の強みを生かし、勇気を出して一歩挑戦すること、その先にこそ新たな世界は広がっている。