フルブライトストーリー

No.26 古田ゆかり

Georgia Southern University に派遣されたFLTAとお世話になった Foreign Language Department の教授と共に

第二言語を教える、学ぶ——世界共通の難しさと楽しさを知った10ヶ月

Georgia Southern University Japanese Club の忘年会

大学卒業を間近に控え、英語教員を目指していたが「すぐに教員になるよりも、もう少し経験を積みたい」と考え、応募した。FLTA は英語ではなく日本語を教えるプログラムだが「第二言語の教授法」という意味では共通であり、得るものがあると考えた。

Georgia Southern University で日本語の初級・初中級クラスのアシスタントを務め、後期は授業も担当した。「一番大変だったのは文字を書かせることでした。シとツ、リとソのように形の似た字を区別するのが特に難しいようでした」

文字に苦労する生徒の気持ちを自分でも体験しようとアラビア語を学び「書けないとはこういうことか」と初めて実感した。「ここは繋ぐ、この書き順はこうという風に具体的に言われなければ解らないと知り、もっと丁寧に教えようという気持ちになりました」

授業以外で力を入れたのが、毎週1回行った Tea Hour と呼ばれる活動だ。日本語に興味を持った学生誰もが専攻を問わず日本語に触れ、学ぶことができる時間だったが「授業と違って生徒のレベルがばらばらで、30人ほどが一気に来るので、毎回何をしようかと考えるのが大変でした」。日本から来た留学生の手を借りたり、同じFLTAプログラムで別の大学にいた日本人フルブライターに電話で意見を貰ったりして教材やゲームなどの企画を準備した。

同じ大学に所属していた他国のFLTAプログラム参加者と互いに授業を見学したり、言語を教え合ったりすることも多かったという。

FLTAプログラムについて「英語教育に携わる人には是非知って欲しいし、機会があるなら行って欲しい。その価値のある充実した10ヶ月だった」と振り返る。日本の学校で教えながらでは難しい、複数の異なる教授法を試せる機会が得られ、各国のフルブライターや言語指導者と出会って視野も広がった。

帰国後は再び英語教育の場で、アメリカで学んだ教授法の実践や、アクティブ・ラーニングのような、言語を通じて楽しめる授業づくりに力を入れている。