ジョーダン・コンドウ

2017年度 フルブライト・フェロー
南カリフォルニア大学 ヒューマンバイオロジー学士
留学先:沖縄国際大学
研究テーマ:沖縄の長寿のパラドックス―遺伝子によるものではなく栄養による加齢現象の抑制について

No.27原文は英語です
「ブルーゾーン」沖縄:長寿のホットスポットでの健康的な老化現象研究をフルブライトのフェローシップで実現

南カリフォルニア大学(USC)に在籍していた際、カロリー制限の科学的知識に基づき健康的に加齢していくことに興味を持った。「高校時代にレスリングをしていたので、競技のための体重維持を目的としたカロリー制限についてはとても良く知っていました。その一方で、栄養不足を伴わないカロリー制限に、長寿を助長する健康効果があることも分かってきていました」

カロリー制限の科学に魅了され、また、東アジア文化と言語を副専攻にしていたことから、長寿と、栄養たっぷりな低カロリー食で知られる日本の沖縄へたどり着いた。「沖縄は100歳以上の人が多い、いわゆる『ブルーゾーン』として知られています。健康的に加齢していくことを勉強するには理想的な場所でした」

USCでの4年次に沖縄でのフルブライト・フェローシップに応募した。大学卒業後に琉球列島へ移り、公衆衛生学・老年学の教授であり、世界一長期間にわたり長寿に関する研究を進めていて沖縄長寿研究の主任研究員である、沖縄国際大学のD. Craig Willcox教授のもとで学んだ。

フルブライト・フェローとして地域の人々と交流する機会は、まさに目を開く機会だった。「伝統的な沖縄食と食文化は『腹八分』よりも特別な意味があるんです」と指摘する。「ある高齢者向けのデイケアセンターを訪問したことは非常に忘れがたい思い出です。そこで、元気いっぱいの94歳の女性に出会いました。その方が、何を食べたかということも、どのくらい食べたかと同じくらい大切だと説明してくれたんです。『ぬちぐすい、食べ物は薬』だと」。伝統的な野菜中心の沖縄料理はビタミン、抗酸化物質、植物化学物質が豊富だ。そのような栄養がたっぷり詰まった食生活が、沖縄の人々の驚くべき長寿の礎となっている。

沖縄国際大学では、「The Cultural Context of Aging(老化の文化的文脈)第4版」のうち、文化、科学両面を合わせた視点から沖縄の長寿について詳述し、一つの章を改訂することで沖縄長寿研究に貢献した。更にFOXO3遺伝子の研究にも参加した。「FOXO3は長寿に関連のある遺伝子なのですが、最近の横断的研究で、長寿と関連のある型のFOXO3をもっている沖縄の人々は、様々な年齢層でテロメアの短縮がわずかであったことが分かっています。特に高齢者において、FOXO3には、酸化的ストレスの減少と細胞レベルでの炎症を減少させる重要な役割があるかもしれない、つまり、より長く、より健康な寿命につながるということです」

沖縄での経験が研究領域を広げた。人々の健康的なライフスタイル獲得を支援することで、日本だけでなく米国においても、慢性疾患による負担を減らし健康な社会をもたらせるかもしれないと気づいたのは、沖縄の元気な高齢者たちと関わったおかげだ。「自分の医学への興味は、健康的に加齢を促進することであると気づき、医学部を受験する動機となりました」その結果、ハーバード大学メディカル・スクール(医科大学院)に見事に合格した。

フルブライト奨学金により日本滞在中、日本の他の地域にも訪れ季節の美しさを堪能した。秋には九州で紅葉を楽しみ、札幌の雪祭りを経験するために北海道でホームステイをした。春にハワイの家族が訪ねてきたときには、姫路城に桜を見に連れて行った。

ハワイに戻った後も、長寿、FOXO3、そしてテロメアの長さの関連の研究を、ハワイ大学ジョン・A・バーンズ医学部の共同研究者たちと続けている。日本と米国双方で社会の高齢化が進む中、自らのバックグラウンドとフルブライトでの経験により、二国が協力してさらなる研究を進めるための橋渡しができれば良いと考えている。「最も健康な沖縄の高齢者の皆さんは生き甲斐ということを述べてらっしゃいました。多くの人々にとっての一番大事な生き甲斐は、周りの人たちを助けるということでした。フルブライトでの経験のおかげで、医師として自分は人々の『寿命』を伸ばす仕事に就きたいと気づきました。これが私の、人々のために働く『生き甲斐』となることでしょう」


富士山山頂からの日の出