大津山堅介

2018年度 大学院博士論文研究プログラム
留学先:イリノイ州 /イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校
研究テーマ:防災分野における事前復興計画構築手法に関する研究

フロリダ州でのインタビュー調査

No.32
人生のチャレンジに早いも遅いもない――夢を叶えた実り多き1年間

近年、災害が発生する前から災害後の復興計画を行う「事前復興計画(pre-disaster recovery planning)」への注目が高まっている。気象系災害の事前復興の実践が世界でも抜きん出ている地域、それがフロリダ州だ。京都大学大学院でフロリダ州における事前復興計画の有用性や構築手法に関する研究を行っていたが、「実際に住んで研究してみたい」と、フロリダ州でフィールドワークを希望した。

まずイリノイ大学でデスクリサーチを進め、続いてフロリダ州で政府関係者や住民にインタビューを行い、再びイリノイ大学に戻り調査をまとめた。日本の防災を相対化して見る機会になったと振り返る。「日本では災害時、地域の人が避難所に集まるように集団的に行動します。一方、アメリカでは個別的に動くため、ハリケーンの広域避難時に渋滞が起こりますが、自身の命を守る行動という意味では合理的判断を最重要視しています。日本の防災や復興が自分の中でスタンダードでしたが、それらを客観的に見る視点を持てたことは大きいです」

フロリダでは学生の頃からの夢だったホームステイを7ヶ月半経験した。また、ボランティアで知り合った小学校の先生に誘われ、小学校2年生から5年生を対象に30分程度の授業を計4回行った。小さな鶴を100個折り、最後に子どもたち一人ひとりに手渡したという。「子どもたちに率先避難者となってもらいたくて、ハリケーンの際も親を説得して早めに避難できるようにと伝えました。有事の際に、折り鶴を見て思い出してくれるとうれしいですね」

大学院博士論文研究プログラムについて、「チャレンジに早いも遅いもありません。私は民間企業で9年ほど働いた後、研究の道へ進みました。ですから、日本のフルブライターの中では若干年上です。他であれば年齢で制限される可能性もありますが、フルブライトには年齢の制限がない。もし何か強い想いがあるのであれば、ぜひ挑戦して欲しいです」と語る。

帰国後は博士後期課程にて、ミャンマーにおける事前復興計画の構築手法などの研究を続けている。修了後も防災の研究に引き続き携わっていく予定だ。得た知見を災害が多いアジアに還元したいと考えている。