フルブライトストーリー

No.47 樋口亜希

フルブライトの研修(エンリッチメント・セミナー)

留学での経験が人生のターニングポイントに——会社経営から公共政策研究へ

クラスメイトたち
クラスメイトと放課後

もともとフルブライターを何人か知っていて、フルブライト奨学金についても知っていたが、自身の留学を考えたときには「ハードルが高そう」と思った。それでも「将来のリーダーを育てる」と「日米の架け橋となる」というミッションに惹かれて、時間を置かず応募した。

「私には大好きな言葉があるんです」と笑顔で話す。
"Start where you are, use what you have, do what you can."
この言葉が足踏みしそうな彼女の背中を押してくれた。

応募した時彼女は教育関係の会社の代表取締役をしていた。子ども達に対して、海外経験を持つバイリンガル教師による質の高い英語教育を行っていたが、より多くの子ども達にサービスを届けるためには、民間だけの力では限界があり、官民連携で行っていく必要性を感じていた。自分にはない「公」の視点を身につけようと留学を決めた。「どのようにビジネスモデルを作り上げていくかより、どのように官民連携をしながら、公教育の中にそういった学びの機会を取り入れていくための政策をつくれるかということを考えていました」

公共政策を学ぶために選んだ Harvard Kennedy School – Harvard University では、留学生の多くが官僚だった。大学側からだけでなく、そうした学生達からも日々多大な影響を受けた。「政策を立案する側の人達とこんなに知り合ったのは初めてで、大きな影響を受けたと思います。私も公共政策に携わっていきたいと思うようになり、政策という大きな視点から教育を変えていきたい、と考えるようになりました」

留学する前は会社経営のために物事を短期的、近視眼的にみる癖が付いていたという。それが、留学によって長期的になり10年、20年先を考えるようになったと話す。視野の拡がりが心に余裕をもたらしたように感じるという。そのため現在は自分が経営していた会社の代表を降り(取締役として残留)、今後はもっと公的な政策といった分野に力を注いでいきたいと考えている。